徒然草 ====== 第48段 光親卿院の最勝講奉行してさぶらひけるを・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 光親卿((藤原光親・葉室光親))、院((後鳥羽上皇))の最勝講奉行してさぶらひけるを、御前へ召されて、供御を出だされて、食はせられけり。さて、食ひ散らしたる衝重(ついがさね)を、御簾の中へさし入れて、まかり出でにけり。 女房、「あなきたな。誰にとれとてか」など申し合はれければ、「有職の振舞、やんごとなきことなり」と、かへすがへす感ぜさせ給けるとぞ。 ===== 翻刻 ===== 光親卿。院の最勝講。奉行してさふら ひけるを御前へめされて。供御をいだされ て食せられけり。さて食ちらしたる衝 重を。御簾の中へさし入て。罷出にけり。女 房あなきたな。誰にとれとてかなど申/w1-36l http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0036.jpg あはれければ。有職のふるまひ。やんごと なき事也と返々感ぜさせ給けるとぞ/w1-37r http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he10/he10_00934/he10_00934_0001/he10_00934_0001_p0037.jpg