とはずがたり ====== 巻3 27 今年は元三に候ふにつけてもあはれなることのみ数知らず・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[towazu3-26|<>]] 今年は元三に候ふにつけても、あはれなることのみ数知らず、何事を悪しとも承ることはなけれども、何とやらむ、御心の隔てある心地すれば、世の中もいとど物憂く心細きに、今は昔とも言ひぬべき人((雪の曙・西園寺実兼))のみぞ、「恨みは末も((『千載和歌集』恋四 俊恵「思ひかねなほ恋路にぞ帰りぬる恨みは末も通らざりけり」))」とて、絶えず言問ふ人にてはありける。 [[towazu3-26|<>]] ===== 翻刻 ===== 神無月のはしめつかたより又さし出つつ年もかへりぬことし はくわん三に候につけてもあはれなる事のみかすしらす 何事をあしともうけ給はることはなけれともなにとや らむ御こころのへたてある心地すれは世の中もいとと 物うく心ほそきにいまはむかしともいひぬへき人のみそ恨/s143l k3-61 http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/143 はすゑもとてたえすこととふ人にてはありけるきさらきの/s144r k3-62 http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/144 [[towazu3-26|<>]]