とはずがたり ====== 巻2 20 さるほどに御妬みには御勝ちあり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[towazu2-19|<>]] さるほどに、御妬みには御勝ちあり。嵯峨殿の御所へ申されて、按察使(あぜち)の二品((藤原永子))のもとに渡らせ給ふ、今御所((「今御所」は底本「と御所」))とかや申す姫宮、十三にならせ給ふを、舞姫に出だし立て参らせて、上臈女房たち、童(わらは)、下仕(しもづかへ)になりて、帳台(ちやうだい)のこころみあり。また、公卿厚褄(あつづま)にて、殿上人・六位肩脱ぎ、北の陣を渡る。便女(びてう)・雑仕(ざうし)がけ景気など残るなく、露台(ろだい)の乱舞、御前の召し、おもしろくともいふばかりなかりしを、「なほ、名残惜し」とて、いや妬みまであそばして、またこの御所負け、「伏見殿にてあるべし」とて、六条院の女楽((『源氏物語』若菜))をまねばる。 [[towazu2-19|<>]] ===== 翻刻 ===== 事ともの有しさまをしはかるへしさるほとに御ねたみ には御かちありさかとのの御所へ申されてあせちの二ほんの もとにわたらせ給ふと御所とかや申ひめ宮十三にならせ 給をまひひめに出したてまいらせて上らふ女房たちわらは しもつかへに成てちやうたいのこころみあり又公卿あつつまにて殿 上人六位かたぬき北のちんをわたるひてうさうしかけいきなとのこる なくろたいのらんふ御前のめしおもしろくともいふはかりなかりし を猶なこりおしとていやねたみまてあそはして又この御/s88l k2-47 http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/88 所まけふしみ殿にてあるへしとて六条院の女かくを まねはるむらさきのうへには東の御かた女三の宮のきん/s89r k2-48 http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/89 [[towazu2-19|<>]]