とはずがたり ====== 巻1 33 年返りぬればいつしか六条殿の御所にて経手十二人にて如法経書かせらる・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[towazu1-32|<>]] 年返りぬれば、いつしか六条殿の御所にて、経手(きやうしゆ)十二人にて、如法経書かせらる。去年(こぞ)の夢、名残思し召し出でられて、人のわづらひなくてとて、塗籠(ぬりごめ)の物どもにて行なはせらる。 正月より、御指の血を出だして、御手の裏を翻して、法華経をあそばすとて、今年は正月より二月十七日までは御精進なりとて、御傾城などいふ御沙汰、絶えてなし。 [[towazu1-32|<>]] ===== 翻刻 ===== いかなるへき事にかとふしきなれとしかへりぬれはいつしか 六条殿の御所にて経しゆ十二人にて如法経かかせらるこその 夢なこりおほしめし出られて人のわつらひなくてとて ぬりこめの物ともにてをこなはせらる正月より御ゆひのちを いたして御てのうらをひるかへして法花経をあそはすとて ことしは正月より二月十七日まては御しやうしんなりとて御 けいせいなといふ御さたたえてなしさる程に二月の末つ/s43r k1-76 http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100218515/viewer/43 [[towazu1-32|<>]]