[[index.html|土佐日記]] ====== 1月8日 大湊 ====== ===== 校訂本文 ===== [[se_tosa16|<>]] 八日、障(さは)ることありて、なほ同じ所なり。今宵、月は海にぞ入る。これを見て業平((在原業平))の君の、「山の端(は)逃げて入れずもあらなむ((『伊勢物語』82))」といふ歌なむ思ほゆる。もし海辺にて詠まましかば、「波立ちさへて入れずもあらなむ」とも詠みてましや。今この歌を思ひ出でて、ある人の詠めりける、  照る月の流るる見れば天の川出づるみなとは海にざりける とや。 [[se_tosa16|<>]] ===== 翻刻 ===== 八日さはることありてなほおなし ところなりこよひつきはうみにそ いるこれをみてなりひらのきみの/kd-17r やまのはにけていれすもあらなむと いふうたなむおもほゆるもしうみへ にてよまましかはなみたちさへて いれすもあらなむともよみてましや いまこのうたをおもひいててあるひ とのよめりける てるつきのなか るるみれはあまのかはいつるみなとは うみにさりけるとや/kd-17l https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100421552/17?ln=ja