[[index.html|篁物語]] ====== 1-2 師走の十五日ごろ月いと明かきに物語しけるを人見て・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[s_takamura1-01|<>]] 師走の十五日(もち)ごろ、月いと明かきに、物語しけるを人見て、「誰(たれ)ぞ。あなすさまじ。師走の月夜ともあるか」なんど言ひければ、   春を待つ冬の限りと思ふにはかの月霜ぞあはれなりける 返し、  年を経て思ひもあかじこの月はみそかの人やあはれと思はん かく言ふほどに、夜更けにければ、「人うたて見むもの」とて入りにけり。男は曹司(ざうし)にとみにも入らで、うそぶきありきけり。 [[s_takamura1-01|<>]] ===== 翻刻 ===== いとけふとくなかりけりしはすの もちころ月いとあかきに物かたり しけるを人みてたれそあなす さまししはすの月夜ともあるか なんといひけれは  春をまつ冬のかきりとおもふには  かの月霜そあはれなりける 返し  としをへておもひもあかしこの月は/s7r  みそかの人やあはれとおもはん かくいふ程に夜ふけにけれは 人うたてみむ物とて入にけり おとこはさうしにとみにもいらて うそふきありきけりさてあし/s7l https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100002868/viewer/7