[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作 ====== 31 ある人紺屋に来たりこれの亭主を上手といふはまことか・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho8-030|<>]] ある人、紺屋(こうや)に来たり、「これの亭主を上手といふはまことか。この着る物の形(かた)に、笛の音を付けてくれよ」と言ひ捨てて帰りぬ。 しばらく工夫し、上に日の丸、下に鑓(やり)を付け、後あつらへたる主(ぬし)に渡す。「これは」と言ふに、「別に子細なし。笛の音はひやりひやりと吹くほどに」。   何とみれども先の近さよ  日をえらぶ暦は師走((「師走」は底本「かしはす」。衍字とみて訂正。))二十日ごろ  元理((武田元理)) [[n_sesuisho8-030|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 ある人紺屋(こうや)に来りこれの亭主を上手といふは   実か此きる物のかたに笛(ふへ)の音(ね)をつけてくれよと/n8-14r   いひすてて帰りぬしはらく工夫し上に日の   まる下に鑓をつけ後あつらへたるぬしに   わたす是はといふに別に子細なし笛の音は   ひやりひやりとふくほとに     何とみれとも先のちかさよ    日をえらふ暦はかしはす廿日比  元理/n8-14l