[[index.html|醒睡笑]] 巻8 頓作
====== 26 山寺に人至りてさてもさてもおもしろき境地や候ふ大略八景も候はんと・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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山寺に人至りて、「さてもさても、おもしろき境地や候ふ。大略(たいりやく)八景も候はん」と申しければ、住持の返答に、「当寺は十景の古処(こしよ)なり」と。「さ候へば、秦の始皇の地((阿房宮))にもまさりたり。八景のほか((「ほか」は底本「ほ」。諸本により訂正。))には、いづれを用ゐられ候ふぞ」。「されば、檀那あり。麓(ふもと)に下り斎(とき)終つて、醴(こざけ)にも酔(ゑ)ひて帰れば、活計(くわつけい)あり。さもなし、ただ二時、糟糠汁(さうかうじる)の風情なれば、ことに貧計(ひんけい)あるかな」。
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===== 翻刻 =====
一 山寺に人いたりてさてもさてもおもしろき境地(きやうち)や候
大略八景も候半と申けれは住持(しうち)の返答(へんとう)/n8-12l
に当寺(たうし)は十景の古処(しよ)也とさ候へは秦(しん)の始(し)
皇の地にもまさりたり八景のほにはいつれを
用られ候ぞされは檀那(たんな)あり麓にくたり斎
をはつてこさけにも酔(ゑい)て帰れは活けいあり
さもなし唯(たた)二時(じ)糟糠汁(そうかうしる)の風情なれはこ
とに貧けいあるかな/n8-13r