[[index.html|醒睡笑]] 巻7 廃忘 ====== 2 神事能のありけるに地下の庄屋の息子に稽古をさせ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho7-044|<>]] 神事能のありけるに、地下(ぢげ)の庄屋の息子に稽古をさせ、大夫になし、始めて舞台へ出だしける。「自然(しぜん)忘るることもありなめ」と、論議のかしら書きを仮名に書きたり。 「兼平((今井兼平))の御最期は、何とかならせ給ふらん」と問ふ時、ちらと手の内を見てあれば、汗に流れ正体なし。肝をつぶし、「兼平の御最期は、むつちやとならせ給ひけり」と。 [[n_sesuisho7-044|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 神事(しんじ)能のありけるに地下の庄屋のむすこ   にけいこをさせ大夫になし始(はしめ)て舞臺へ出し   ける自然(しぜん)わするる事もありなめと論議(ろんぎ)/n7-27l   のかしら書(かき)をかなに書たり兼平(かねひら)の御(ご)さ   いごはなにとかならせ給ふらんととふ時ちらと手   の内を見てあれば汗にながれ正体なし   肝をつぶし兼平の御さいごはむつちやと   ならせたまひけりと/n7-28r