[[index.html|醒睡笑]] 巻6 詮ない秘密 ====== 6 はづかしき客あり振舞ひ半ばに酒を取りて来たれとありしかば・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho6-080|<>]] はづかしき客あり。振舞ひ半ばに、「酒を取りて来たれ」とありしかば、千代といふ下衆(げす)、調子高(てうしだか)に、「かみさま、銭五十が酒をか、百が酒をか」と問ふ。興覚めければ、そと呼び寄せ、「人のあるところにて、今のやうには言はぬものぞ」と叱られしが、ある時、五つ六つなる惣領の子、とりはづし井にはまる。件(くだん)の千代、静かに歩み寄り、耳のもとに口を寄せ、人の聞かぬやうに、「若う様の井戸へ落ちあつた」と。 [[n_sesuisho6-080|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 はつかしき客ありふるまいなかばに酒を取   て来れとありしかは千代といふ下主調子だか   にかみさま銭五十か酒をか百か酒をかととふ興   さめけれはそとよびよせ人のある処にて今の   やうにはいはぬ物ぞとしかられしかある時五つ   六つなる惣領の子とりはつし井にはまる件/n6-40r   の千代しづかにあゆみより耳のもとに口を   よせ人のきかぬやうにわかうさまの井戸へ   おちあつたと/n6-40l