[[index.html|醒睡笑]] 巻5 婲心 ====== 14 芸州に大場といふ侍あり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho5-013|<>]] 芸州に大場といふ侍あり。兄弟の中いかがの子細にや、庶子(そし)家をつぎて惣領は筑紫に行き、牢人(ろうにん)の後、太閤御所、薩摩御陣立(さつまぢんだち)あり。庶子のなにがしも御供し、宿札(やどふだ)を持ちて行く折節、兄の家とも知らず打ちたり。宿取りを主人うかがひ見れば、件(くだん)の弟(おとと)なりし。さすが昔のゆかしくて、   おほば((大葉・大場))をば茶にさへ嫌ふものなるに何の縁とて宿を借るらん 庶子よりの返歌   おほばをば茶にさへ嫌ふものなれど心砕けば別儀あらじな [[n_sesuisho5-013|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 藝州(げいしう)に大場(おほば)といふ侍あり兄弟の中如何(いかか)の   子細にや庶子(そし)家をつきて惣領(そうりやう)は筑紫に行   牢(ろう)人の後太閤御所薩摩御陣立(ぢんたち)あり庶子の   なにかしも御供し宿札をもちて行折節兄の   家ともしらず打たり宿とりを主人伺みれば   件(くたん)の弟(おとと)なりしさすか昔の床しくて/n5-9l    大ばをは茶にさへきらふ物なるに     なにのえんとて宿をかるらん   庶子よりの返哥    大ばをは茶にさへきらふ物なれと     心くたけは別義あらしな/n5-10r