[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点 ====== 18 若輩なる者ども三人連れだち長谷寺へ参りしに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-059|<>]] 若輩なる者ども、三人連れだち、長谷寺へ参りしに、宿の下衆(げす)、客に向かひ、「行水をとるべきや。まづ入堂(にふだう)召されんや」と問ふ。一人が傍らに行き、手まねきし、「今、下女の、『入堂を召さるるか』と言うたは合点(がつてん)ゆかず」。 連れが聞きて、「それこそ、われがよく知りたることよ。このあと高野参りの時、男の髪を剃りて坊主になりたるを、『さてよき入道(にふだう)や』と讃めつるが、今も、『入道になる者はないか』と言ふにてあらん」。また一人出でて、「それならば、『とかく入道は若い者でいらぬ』と言へ。無理になれとは言ふまいぞ」と、ささやきけり。 [[n_sesuisho4-059|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 若輩なる者ども三人つれたち長谷寺へ   参りしに宿(やど)のげす客にむかひ行水を   とるべきやまつ入堂(にうだう)めされんやととふ一人   がかたはらに行手まねきし今下女の入(にう)   堂(どう)をめさるるかといふたは合点(かつてん)ゆかすつれが   聞てそれこそわれがよくしりたる事よ   此跡(あと)高野(かうや)参りの時男の髪(かみ)をそりて   坊主になりたるをさてよき入道やとほめ   つるがいまも入道になる者はないかといふにて/n4-43r   あらん又一人出てそれならばとかく入道はわ   かい者でいらぬといへむりになれとはいふまい   ぞとささやきけり/n4-43l