[[index.html|醒睡笑]] 巻4 聞こえた批判 ====== 26 そのかみ大樹より仰せ付けられ彦坂九郎兵衛駿河の町奉行なりし時・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-025|<>]] そのかみ、大樹((将軍。ここでは徳川家康のこと。))より仰せ付けられ、彦坂九郎兵衛((彦坂光正))、駿河の町奉行なりし時、薬院((施薬院))のとて、薬の包み紙を馬に付け下りしが、馬、田へころび紙を濡らせり。荷物にそひたる侍、腹立(ふくりう)して、思ふさま馬追(うまおひ)を叩きたり。 その上に町奉行へ出でて、「馬追にわきまへさせられよ」とあれば、九兵衛聞きて、「もつともなり。さりながら、わきまへさせたらば、またそちをも叩きかへさんずるはいかに。叩かずは道理至極(だうりしごく)せんものを」と申さるるにぞ、叩かれんがいやさに口を閉ぬ。 [[n_sesuisho4-025|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 そのかみ大樹より仰付られ彦坂九郎兵衛駿河   の町奉行なりし時薬院のとて薬のつつみ   紙を馬につけくたりしが馬田へころび紙を   ぬらせり荷物にそひたる侍腹立(ふくりう)しておもふ   さま馬追(おひ)を扣(たたき)たり其上に町奉行へ出て馬   追に弁(わきまへ)させられよとあれは九兵衛聞て尤也   さりながら弁させたらは又そちをも扣(たたき)かへ   さんするはいかにたたかずは道理至極せん物   をと申さるるにぞたたかれんがいやさにくちを/n4-23l   とちぬ/n4-24r