[[index.html|醒睡笑]] 巻4 聞こえた批判 ====== 24 そちは生得貧乏なる体を見及びしが・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-023|<>]] 「そちは生得(しやうとく)貧乏なる体(てい)を見及びしが、今はひきかへて、けしからず有徳(うとく)になりたるよし風聞するは、まことか」と問ひければ、「なかなかのことや。われらごとき者をも富める人の内に沙汰するかよ。惣別(さうべつ)無力(ぶりよく)にて、人の物をばかり借りゐたる身の、当時わづかの貯へあるを見て、大きに言ひなすになう。これを思ふに、牛には大きなる角二つあれども、見付けたれば目にたてず、もし馬に角あれば、小さけれども目にたてて、名を高う言ふ心これなるべし」。 [[n_sesuisho4-023|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 そちは生得(しやうとく)貧乏(ひんほう)なる体を見をよひしが   今はひきかへてけしからす有徳(うとく)になりた   るよし風聞するは実(まこと)かととひけれは中々の/n4-22l   事やわれらごとき者をもとめる人の内に   さたするかよ惣別(さうへつ)無力(ふりよく)にて人の物を斗か   りゐたる身の当時(たうし)わつかの貯(たくわへ)あるをみて大に   いひなすになふ是をおもふに牛には大なる   角(つの)二つあれともみつけたれは目にたてず   もし馬に角あれはちいさけれ共目に   たてて名をたかふいふ心是なるへし/n4-23r