[[index.html|醒睡笑]] 巻3 自堕落 ====== 3 常に人みな干鮭は身を温めてよき薬など言ふを聞きて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-078|<>]] 常に人みな、「干鮭(からざけ)は身を温めてよき薬」など言ふを聞きて、「われも養生に食ひたきことや」と思ひ、老比丘、うつけたる中間(ちうげん)に向かひ、「薬にちといることあり。干鮭いふ物を買うてきたれ」とて、代を三百渡しけり。すなはち買ひ求めて来たりぬ。 折節あしく、客のある座敷へ、くだんのうつけ、によつとさし出だしける。老比丘赤面し、「その干鮭を、すぐに泉水へ放せ」と申されたり。 [[n_sesuisho3-078|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 つねに人みな干鮭(からさけ)は身をあたためてよき   薬などいふを聞てわれも養生(やうしよふ)にくひ   たき事やとおもひ老比丘うつけたる中間   にむかひ薬にちといる事ありからさけと   いふ物をかふてきたれとて代を三百わ   たじけりすなはちかいもとめて来りぬ折   節あしく客のある座敷へくたんの   うつけによつとさし出しける老比丘せき   面し其からさけをすくに泉水へはな/n3-37l   せと申されたり/n3-38r