[[index.html|醒睡笑]] 巻3 文字知り顔 ====== 8 革細工の方へ侍のもとよりとて太刀に文を添へ持ち来たる・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-007|<>]] 革細工の方へ、侍のもとよりとて、太刀に文(ふみ)を添へ持ち来たる。開き見れば、「この日日念を入れ給はり候へ」とあり。つひに読む者なし。 亭主、わざと侍のもとへ行き、直(ぢき)に尋ねければ、「それこそ誰も知るべき文字よ。頭(かしら)の『日』は『一日(ついたち)』の『たち』、次の日は『二日(ふつか)』の『つか』。『太刀の柄(つか)を巻きてくれよ』にて済みたるものを」となり。 [[n_sesuisho3-007|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 革細工のかたへ侍のもとよりとて太刀(たち)に文を   そへ持来るひらき見れは此日日念(ねん)を入給り   候へと有つゐによむ者なし亭主わざと侍のもと   へ行直(ちき)に尋けれはそれこそ誰もしるへき   文字よかしらの日はついたちのたち次の日は   二日のつか太刀のつかをまきてくれよにて   すみたる物をとなり/n3-6l