[[index.html|醒睡笑]] 巻2 賢だて
====== 11 力はさのみなうて手のきいたるを頼みにし相撲を好く男あり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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力はさのみなうて、手のきいたるを頼みにし、相撲(すまふ)を好(す)く男あり。また手をとる心は少しもなくて、ただ力のあるを腕にし、相撲を好む坊主あり。双方名乗り合ひ、僧と俗といくたび取れども、力の強きにより、手を役に立てず。
坊主、勝ちとほしければ、俗、腹を立ち、見物の多き時、負けて退(の)きざまに高々と声を上げ、「いかほどの坊主とも相撲取りたるが、あの入道ほど鮨臭(すしくさ)いやつに会うたことがない」と悪口ばかりに勝ちしをかしさよ。
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===== 翻刻 =====
一 ちからはさのみなふて手のきいたるをたのみ
にし相撲をすく男あり又手をとる心は
すこしもなくて唯ちからのあるをうて
にしすまふをこのむ坊主あり双方名
乗あひ僧と俗といくたひとれとも力の
つよきにより手をやくにたてす坊主か
ちとをしけれは俗腹をたち見物のおほき/n2-51r
時まけてのきさまに高々と声をあけいかほ
との坊主ともすまふとりたるかあの入道ほと
すしくさいやつにあふた事かないと悪口
斗にかちしおかしさよ/n2-51l