[[index.html|醒睡笑]] 巻2 吝太郎(しはたらう)
====== 1 人ありて無心の申しごとなれど晴れがましきところに出で候ふ条・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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人ありて、「無心(むしん)の申しごとなれど、晴れがましきところに出で候ふ条(でう)、貴所(きしよ)の綾の小袖を、そとの間お貸しあれ」と文をやりたれば、返事に、「やすきほとの御用なれど、それへ小袖を貸したらば、人の聞きて、われを『あやかし((綾貸し・妖怪))』と言はん。また貴所をも『あやかり((綾借り・あやかる))』とや申さんなれば、わざと参らせぬ」とこそ書きたりけれ。
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===== 翻刻 =====
吝太郎
一 人ありて無心の申事なれとはれかましき
処に出候条貴所の綾の小袖をそとのま
おかしあれと文をやりたれば返事に
やすきほとの御用なれとそれへ小袖をかし
たらは人のききてわれをあやかしといはん
又貴所をもあやかりとや申さんなれは態
まいらせぬとこそかきたりけれ/n2-38l