[[index.html|醒睡笑]] 巻1 祝ひ過ぎるも異なもの
====== 16 元三を祝ひ膳部取り集めめでたいなといろいろしたためて座りぬ・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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元三を祝ひ、膳部(ぜんぶ)取り集め、「めでたいな」といろいろしたためて座りぬ。盃(さかづき)あなたこなたとめぐるなかば、十ばかりなる惣領(そうりやう)、ふと座を立ち、親の汁に残れる鯛の頭(かしら)を取りて、手飼ひの犬を呼び、「これは、とと((魚の幼児語。))の頭(かしら)ぞ。食らへ」と言ふに、七つ・八つなる娘の走り行き、母の食ひ残せる魚の骨を持ちて出で、「これは、かかの骨ぞ。食らへ」と言ひし。 不興の((「不興の」は底本小書き。))。
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===== 翻刻 =====
一 元三をいはひ膳部とりあつめ目出たいなと
いろいろしたためてすはりぬ盃(さかつき)あなたこなたと/n1-74l
めくるなかば十はかりなる惣領(さうりやう)ふと座を立親
の汁に残れる鯛のかしらをとりて手がいの犬
をよひこれはととのかしらぞくらへといふに七つ
八つなるむすめのはしりゆき母のくい残せる
魚のほねをもちて出これはかかのほねぞくらへ
といひし 不興の/n1-75r