[[index.html|醒睡笑]] 巻1 謂へば謂はるる物の由来 ====== 6 随八百とは何をいふ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho1-005|<>]] 「随八百(ずいはつぴやく)」とは何をいふ。 聟が舅(しうと)のもとに行き、慇懃に一礼ありて後、舅の言ふやう、「今までは公界(くがい)むきよし。この後は随(ずい)をいだひてあそばれ候へ」と。聟聞きて、肝をつぶし、京へにはかに随を買ひにのぼする。高声(かうじやう)に、「随を買はん」と呼ぶ。利口なる者行き合ひ、亀の子を「生き随これなり」とて、八百に売りたり。聟、喜び座敷へ持ちて出で、「随を出だし参らする」とて歩ませたり。 それより「随八百」とはいふと。をかしや。 [[n_sesuisho1-005|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 随八百とはなにをいふ聟かしうとのもとに   行いんきんに一礼ありて後しうとのいふ   やう今まては公界むきよし此後は随をい   たひてあそばれ候へと聟ききて肝をつぶし   京へ俄に随をかひにのほする高声に随をか   はんとよぶ利口なる者行合亀の子をいきずい   是なりとて八百にうりたり聟よろこひ座/n1-7r   敷へ持て出随を出しまいらするとてあゆませ   たりそれより随八百とはいふとおかしや/n1-7l