蒙求和歌 ====== 第14第50話(250) 董遇三余 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 董遇三余 ** 魏の董遇、字(あざな)を季真((季直が正しい。))といふ。左伝をよく学び悟れりけり。 従学の者の、「苦渇((底本「苔渇」。典拠により訂正。))にして、日なし」と言ひければ、董遇がいはく、「常に三余をもてす」と言ひけり。 三余と言へるは、冬は歳(とし)の余り、夜は日の余り、雨、月の余りと言へり。三余の学、これなり。   雪のそこ月のもととて思ひしに雨も心の晴れ間なりけり ===== 翻刻 ===== 董遇三餘/d2-55l 魏ノ董遇アサナヲ季真トイフ左伝ヲヨクマナヒサトレリケリ 従学ノモノノ苔(コ)渇(カツ)ニシテ日ナシトイヒケレハ董遇カ云ク ツネニ三餘ヲモテストイヒケリ三餘トイヘルハ冬ハトシノアマリ 夜ハ日ノアマリ雨月ノアマリトイヘリ三餘ノ学コレナリ ユキノソコ月ノモトトテヲモヒシニ アメモココロノハレマナリケリ/d2-56r