蒙求和歌 ====== 第12第6話(176) 巫馬戴星 宓賤弾琴 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 巫馬戴星 宓賤弾琴((底本「密賤弾琴」。原拠により訂正。)) ** 巫馬期、単父令((底本「単甫」。原拠により訂正。以下同じ。))になりて、日夜にやすく居ることなし。星をいただきて出で、星をいただきて入りつつ、身を痛ましめて、所を治めけり。 後に、宓子賤((底本「密子賤」。原拠により訂正。以下同じ。))、単父の令になれる時、琴を弾きて、堂より下りざれども、所治まりけり。 巫馬期、そのゆゑ((「そのゆゑ」は底本、「ヲノユエ」。文脈により訂正。))を問ひけり。宓子賤、答へていはく、「なんぢは力をもて治む。われは人に任せて治む。力を尽すは労す。人に任するはやすし」と言へり。   滝つ瀬やみどりの水をむすひてぞ末をば人に任せけるかな ===== 翻刻 ===== 巫(フ)馬(ハ)戴星 密賤弾琴 巫馬期単(タム)甫(フ)令ニナリテ日夜ニヤスクヰル事ナシ星ヲイタ タキテイテ星ヲイタタキテイリツツミヲイタマシメテ所ヲヲサメ ケリ後ニ密子賤単甫ノ令ニナレル時琴ヲヒキテ堂ヨリ ヲリサレトモ所ヲサマリケリ巫馬期ヲノユエヲトヒケリ密子 賤コタヘテ云ク汝ハチカラヲモテヲサムワレハ人ニマカセテ ヲサムチカラヲツクスハ労ス人ニマカスルハヤスシトイヘリ タキツセヤミトリノミツヲムスヒテソ スエヲハ人ニマカセケルカナ/d2-30r