蒙求和歌 ====== 第12第1話(171) 女媧補天 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 女媧補天((「女媧」は底本「女蝸」。以下すべて同じだが、一般的な表記に改めた。)) ** 女媧は女帝なり。伏羲氏の妹(いもうと)、吉祥菩薩の御身と言へり。 昔、四極すたれ、九州裂けたりしに、五色の石を練りて、蒼天を補(おぎの)ふ。 女媧、初めて琴・箏・簫・笙を作り給へりけり。琴を作りて、初めて弾く時、白雲飛びて、前(まえ)に来たれり。簫を作りて吹く時、六月に霜下(くだ)れり。一度(ひとたび)曲調をなすに、天下、大きに振るふ。笙を作りて吹く時、鶯来たり鳴くと言へり。   空はみなとだえも見えず割れにけり琴の音(ね)ゆゑぞ雲はたなびく ===== 翻刻 ===== 女蝸補天 女蝸ハ女帝ナリ伏羲氏ノ妹(イモウト)吉祥菩薩ノ御身ト云ヘリ 昔四極スタレ九州サケタリシニ五色ノ石ヲネリテ補(ノフ)蒼天ヲ 女蝸ハシメテ琴箏蕭笙ヲツクリ給ヘリケリ琴ヲツ クリテハシメテヒクトキ白雲トヒテマエニキタレリ蕭ヲ ツクリテフクトキ六月ニシモクタレリヒトタヒ曲調ヲナスニ 天下大振フ笙ヲツクリテフク時ウクヒスキタリナクト云リ/d2-27l ソラハミナトタヘモミヘスワレニケリ コトノネユエソクモハタナヒク/d2-28r