蒙求和歌 ====== 第10第6話(136) 范冉生塵 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 范冉生塵 後漢代人莱蕪令 ** 范冉((范丹とも。))といふ貧しき人のすみか、甑(こしき)の底((「底」は底本「そて」。書陵部本により訂正。))には塵積るまで、柴折りくぶる営みを忘れ、釜の底の水には魚(いを)のすだくまで、朝餉(あさげ)の煙(けぶり)絶え果てにける。まことに心細くなむありける。   かきつめぬ木の葉の塵は積もれども宿(やど)の煙(けぶり)は絶えはてにけり ===== 翻刻 ===== 范冉(セム)生(セイ)塵 後漢代人莱蕪令/d2-13l 范冉ト云マツシキ人ノスミカコ(ヒ歟)シキノソテニハチリツモルマテ シハヲリクフルイトナミヲワスレカマノソコノ水ニハイホノスタク マテアサケノケフリタエハテニケルマコトニ心ホソクナムアリケル カキツメヌコノハノチリハツモレトモヤトノケフリハタエハテニケリ/d2-14r