蒙求和歌 ====== 第10第1話(131) 梁鴻五噫 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 梁鴻五噫 ** 梁鴻、後漢の代の扶風の人なり。 才学、世にすぐれたれども、おほやけも用ゐ給はねば、世を憂きものに思ひ取りて、五つの歎きの歌を作りて、覇陵山にかきこもりにけり。 孟光(([[ndl_mogyuwaka05-17]]参照。))といふ、心賢き妻(め)を身にそへて、明け暮れは書誦し、琴を弾きてぞ、心を慰めける。 >五噫事、一、登彼北邙兮噫、二、顧視帝京兮噫、三、寂寥之未央子噫、四、宮室崔嵬兮噫、五、人之欨労兮噫、遂於越中也((本来の『五噫歌』は次の通り。「陟彼北芒兮噫。顧瞻帝京兮噫。宮闕崔巍兮噫。民之劬勞兮噫。遼遼未央兮噫。」))。   歎きこし山のいつえの奥の色は身のうき雲ぞとざしなりける ===== 翻刻 ===== 梁鴻五噫  梁鴻後漢ノ代ノ扶風ノ人也才学ヨニ/スクレタレトモヲホヤケモモチヰ給ハネハ ヨヲウキモノニ思ヒトリテイツツノナケキノ哥ヲ作リテ覇陵山ニ カキコモリニケリ孟光ト云心カシコキメヲミニソヘテアケクレハ 書誦シ琴ヲヒキテソ心ヲナクサメケル 五噫事 一登彼北近邛兮噫 二顧視帝京兮/d2-11l 噫 三寂寥之未央子噫 四宮室崔嵬兮噫 五人之欨労兮噫 遂於越中也 ナケキコシ山ノイツエノヲクノイロハ ミノウキ雲ソトサシナリケル/d2-12r