蒙求和歌 ====== 第8第6話(116) 仲連蹈海 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 仲連蹈海 斉人也 ** 魯仲連、奇偉倜儻の画策を好みて、心に高節を思ひて、深くこもり居にけり。 秦王、官をさけて、職を授け給ひて、召せども、世の危ふきことを悟りて参らず。静かに趙に遊びけり。 「たとひ、東海を踏みては死ぬとも、秦の臣とはならじ」と言ひけり。   清見潟(きよみがた)波の関路(せきぢ)はあゆむともうき名をとめじと思ふばかりぞ ===== 翻刻 ===== 仲連蹈海 斉人也  魯仲連奇(キ)偉(クヰ)倜(テウ)儻(タウ)ノ/画策ヲ好ミテ心ニ高節ヲ 思ヒテフカクコモリヰニケリ秦王官ヲサケテ職ヲサツケ 給テメセトモヨノアヤウキ事ヲサトリテマヒラスシツカニ 趙ニアソヒケリタトヒ東海ヲ蹈テハシヌトモ秦ノ臣トハ ナラシト云ケリ/d2-5r キヨミカタナミノセキチハアユムトモ ウキナヲトメシトヲモフハカリソ/d2-5l