蒙求和歌 ====== 第3第14話(49) 鄭荘置駅 駒迎 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 鄭荘置駅 駒迎((底本、目録・標題ともに「釣迎」。和歌の内容により訂正)) ** >陳留人なり 鄭荘((鄭当時))は孝景帝の時の人なり。毎に五日洗沐すと言へり。いはゆる、一月に五日、一年に六十日を暇(いとま)の暇(ひま)とす。鄭荘、家に天下の名人を((底本「を」なし。諸本により補う。))集めて、湯を沸かして、昼は日暮し、夜(よる)は明くるまで思ふさまに遊びて、心を悦ばしめけり。 人々行き帰る馬の疲れをかへりみて((「かへりみて」は底本「カヘミテ」。書陵部本(桂宮本)により補う。))、長安城の外の四面の郊(かう)に、駅(むまや)を置きて、伝馬をたて置きけるなり。   いくたびか駒引く秋を迎へ来し逢坂山の関の旅人 ===== 翻刻 ===== 鄭庄置駅 釣迎 陳留人也 鄭庄ハ孝景帝ノ時ノ人也毎ニ五日洗沐スト云リイハユル一 月ニ五日一年ニ六十日ヲイトマノヒマトス鄭庄家ニ天下ノ 名人アツメテ湯ヲワカシテヒルハヒクラシヨルハアクルマテヲモ フサマニアソヒテ心ヲヨロコハシメケリ人々ユキカヘル馬ノ ツカレヲカヘミテ長安城ノ外ノ四面ノ郊(カウニ)ムマヤヲヲキテ伝 馬ヲタテヲキケルナリ イクタヒカコマヒクアキヲムカヘコシアウサカ山ノセキノタヒ人/d1-27r