蒙求和歌 ====== 第3第3話(38) 季倫錦障 萩 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 季倫錦障 萩 ** >晋代人 晋の季倫は石崇が字なり。家富み、財に豊かなりけり。 時に王愷((「愷」は底本「𫣅(にんべんに豈)」。書陵部本(桂宮本)により訂正。))といふ人、紫の歩障を作ること、四十里に続きけり。見る人、目驚(おどろ)かしけり。 季倫、錦の歩障を作ること、五十里に及べり。彼に敵しけり。   武蔵野は萩の錦を織らぬまぞ若紫にしかじとは見し ===== 翻刻 ===== 季倫錦障 萩 晋代人 晋季倫ハ石崇カ字也家トミ財ニユタカナリケリ時 王𫣅カイト云人ムラサキノ歩(ホ)障ヲツクルコト四十里ニツツキケリ ミル人メヲトロカシケリ季倫錦ノ歩障ヲツクルコト五十里ニ ヲヨヘリカレニ敵シケリ ムサシノハハキノニシキヲオラヌマソ/ワカムラサキニシカシトハミシ/d1-21l