十訓抄 第十 才芸を庶幾すべき事 ====== 10の15 江挙周和泉の任去りてのち病重かりけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 江挙周((大江挙周))、和泉の任去りてのち、病重かりけり。住吉の御たたりあるよしを知りて、その母、赤染衛門、   かはらんと祈る命は惜しからでさても別れんことぞかなしき と詠みて、幣(みてぐら)に書きて、かの社に奉りければ、その夜、夢に白髪の老翁ありて、この幣を取ると見て、病癒えぬ。 ===== 翻刻 ===== 十四江挙周和泉ノ任サリテ後、病重カリケリ、住吉御タタリ アルヨシヲ知テ、其母赤染衛門/k50 カハラントイノル命ハオシカラテ、サテモワカレン事ソカナシキ ト読テミテクラニ書テ、彼社ニ奉リケレハ、其夜夢ニ白 髪ノ老翁有テ、此幣ヲ取ト見テ病イエヌ、/k51