十訓抄 第七 思慮を専らにすべき事 ====== 7の18 都良香策対の時問頭博士は春澄善綱なり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 都良香、策対の時、問頭博士は春澄善綱なり。良香、ひそかにかの家の侍女にかたらひて、善綱が草案の焼き捨てたりけるを乞ひ取りて、開きて見、試みてのち、「三壺に雲浮ぶ、七万里のほど浪を分かつ」といふ、「神泉策」の秀句を作りまうけたりけり。 ===== 翻刻 ===== 十九都良香策対時問頭博士ハ春澄善綱也、良香ヒソ カニ彼家ノ侍女ニカタラヒテ、善綱カ草案ノヤキス テタリケルヲ乞取テ開テ見試テ後、三壺ニ雲浮フ 七万里ノホト浪ヲ分ツト云神泉策ノ秀句ヲ作マウケ タリケリ、/k139