十訓抄 第六 忠直を存ずべき事 ====== 6の13 藤原相如は粟田殿はかなくなり給ひにけるを歎きて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 藤原相如は、粟田殿((藤原道兼))はかなくなり給ひにけるを歎きて、うち寝(ぬ)ることもせられざりければ、   夢ならでまたも会ふべき君ならば寝(ね)られぬいをも歎かざらまし と詠みて、ほどなく失せにけり。 その娘なりけるが、父の別れを悲しみて、   夢見ずと歎きし君をほどもなくまたわが夢に見ぬぞ悲しき ===== 翻刻 ===== 十六藤原相如ハ粟田殿ハカナク成給ニケルヲ歎テ、ウチ ヌル事モセラレサリケレハ、 夢ナラテ又モアフヘキ君ナラハ、ネラレヌヰヲモ 歎カサラマシ/k49 トヨミテ、程ナク失ニケリ、其娘ナリケルカ父ノワカレヲ 悲ミテ、 ユメミストナケキシ君ヲホトモナク、マタ我ユメニミ ヌソカナシキ、/k50