十訓抄 第五 朋友を撰ぶべき事 ====== 5の5 興福寺の智光頼光は一双の貴き人にて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 興福寺の智光・頼光は、一双の貴き人にて、一所に学問してありけるが、頼光、前(さき)に隠れにけり。 智光、「その生所を見む」と願ひて、夢の中に極楽に参りて、頼光か先立ちて生まれたる有様を見けり。 さて、その様を絵に書きたるをば、智光が曼荼羅とて、世に伝へたり。 ===== 翻刻 ===== 興福寺ノ智光頼光ハ一双ノ貴キ人ニテ一所ニ 学問シテアリケルカ頼光前ニ隠ニケリ、智光/k7 其生所ヲ見ト願テ、夢中ニ極楽ニ参テ、頼 光カ先立テ生タル有様ヲ見ケリ、サテ其様 ヲ絵ニ書タルヲハ智光カ曼陀羅トテ世ニ伝 ヘタリ、/k8