十訓抄 第一 人に恵を施すべき事 ====== 1の20 一条院御位の時実方中将臨時の祭の試楽に遅く参りて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 一条院御位の時、実方中将((藤原実方))、臨時の祭の試楽に遅く参りて、挿頭(かざし)の花を給はらで、「追うて舞人((底本「蔵人」。異本注記の「舞人」に従う。))に加ふ」とて、竹の台に進み寄りて、呉竹の枝を折りてさしたりける、めでたきよし、人々ほめあひけり。 これより後、試楽の挿頭には竹の枝をさすとかや。 ===== 翻刻 ===== 一条院御位ノ時、実方中将臨時ノ祭ノ試楽ニ遅 ク参テ、カサシノ花ヲ給ハラテオウテ蔵人ニ加ト テ、竹ノ台ニススミヨリテ、呉竹ノ枝ヲ折テサシ/k44 タリケル、目出ヨシ人々ホメアヒケリ、是ヨリノチ試 楽ノカサシニハ、竹ノ枝ヲサストカヤ、/k45