平中物語 ====== 第21段 この同じ男のもとに国経の大納言のみもとより・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== この同じ男のもとに、国経の大納言((藤原国経))のみもとより、いささかなることのたまへるに、「返り事聞こゆ」とて、おもしろき菊にぞ付けたりける。 さりければ、いかなることをか書いたりけむ。たちかへり、また、のたまへる。   みよを経てふりたる翁杖突きて花のありかを見るよしもがな とありければ、返し。   玉鉾(たまぼこ)に君し来寄らば浅茅生(あさぢふ)にまじれる菊の香(か)はまさりなん ===== 翻刻 ===== とてたてまつりけるこのおなしおとこ のもとにくにつねの大納言のみもとより/26ウ いささかなる事のたまへるにかへり事 きこゆとておもしろききくにそつけ たりけるさりけれはいかなることをかか いたりけんたちかへり又のたまへる みよをへてふりたるおきなつゑつき てはなのありかをみるよしもかな とありけれはかへし たまほこにきみしきよらはあさち ふにましれるきくのかはまさりなん/27オ