平中物語 ====== 第6段 またこの男逍遥しにてなま田舎へいにけるに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== また、この男、逍遥しにて、なま田舎へいにけるに、はるかに鶯の鳴きければ、「いづかたぞ」など、供なる人に、   鶯の声のはつかに聞こゆるはいづれの山に鳴く山彦ぞ とぞ、口遊びに言ひける。 ===== 翻刻 ===== 又この男せうようしにてなまゐ中へ いにけるにはるかにうくひすのなき けれはいつかたそなとともなる人に/11ウ うくひすのこゑのはつかにきこゆる はいつれの山になくやまひこそ とそくちあそひにいひけるさてこの/12オ