[[index.html|古今著聞集]] 興言利口第二十五
====== 540 七条院の権大夫は歌人なり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
七条院((高倉天皇皇妃藤原殖子))の権大夫((女房名))は歌人なり。
秋来ぬと松吹く風も知らせけりかならず萩のうは葉ならねど
と詠めるは、この大夫か秀歌なり。『新古今((新古今和歌集。底本「新今」。諸本により訂正。))』の清撰に入りたり。
孝道朝臣((藤原孝道))はかの院の北面にて、御格子に参りたりけるを、権大夫、詠みかけける((以下、底本一行空白で和歌はない。諸本同じ。))、
孝道は鼻の大きなれば、かく詠みたりけるなり。この権大夫は、また頭(かしら)の大きなりければ、返事にとりあへず((以下、底本一行空白で和歌はない。諸本同じ。))、
===== 翻刻 =====
七条院の権大夫は哥人なり秋きぬと松吹風も
しらせけりかならす萩のうは葉ならねととよめるは
此大夫か秀哥也新今の清撰に入たり孝道朝臣
はかの院の北面にて御格子にまいりたりけるを権
大夫よみかけける
孝道は鼻のおほきなれはかくよみたりける也この権大夫
は又かしらのおほきなりけれは返事にとりあへす/s427r
/s427l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/427