[[index.html|古今著聞集]] 蹴鞠第十七 ====== 416 四条院御位の時仁治のころ仁寿殿の東向の御壺に賀茂神主久継に仰せて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 四条院((四条天皇))御位の時、仁治のころ、仁寿殿の東向の御壺に、賀茂神主久継((賀茂久継))に仰せて切立(きりたて)をせられて、常に御鞠ありけるに、まことに引きつくろはれたる日侍りけるに、左大臣((藤原良実))・右大臣((藤原実経))参り給ひたりけり。 左大臣、懸りの下へ進み寄りて((「進み寄りて」は底本「すすよりて」。諸本により訂正。))、ひざまづきて、指貫のそばを挟ませ給ひけり。右大臣は番長頼種を便宜(びんぎ)の所へ召して、下袴(したばかま)を御指貫に合はで切られて、括(くくり)を上げさせ給ひけり。 いづれも興あることに、時の人申しけり。 ===== 翻刻 ===== 四条院御位の時仁治の比仁寿殿の東向の御壺に 賀茂神主久継に仰て切立をせられてつねに 御まり有けるに誠に引つくろはれたる日侍けるに 左大臣右大臣参給たりけり左大臣懸の下へすす/s314l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/314 よりて跪て指貫のそはをはさませ給けり右大臣 は番長頼種を便宜の所へめして下袴を御指 貫にあはて切れて絬をあけさせ給けりいつれ も興ある事に時の人申けり/s315r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/315