[[index.html|古今著聞集]] 馬芸第十四 ====== 360 承安元年小五月会にて侍りけるにや秦公景下野敦景・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 承安元年、小五月会(こさつきゑ)にて侍りけるにや、秦公景(公正子)・下野敦景(敦則子)合はせられたりけるに、公景はまうけ上手、敦景は追ひ上手なりければ、案のごとく敦景追ひて、取組みて馬場末まで通りにけり。ともに興ありければ、両人召されにけり。 公景は、もとより院の召次所(めしつぎどころ)に候ひけり。敦景、叡感のあまりに、次の日召次所に候ふべきよし、大宮大納言隆季卿((藤原隆季))の奉行にて仰せ下されけり。 公景、このことを聞きて、院の中門に、主典代・庁官などが候ひける中にて、「まことにや、敦景、公景に持(ぢ)したりとて、御所へ召され侍るなり。公景に勝ちたらん者は、いかほどの目にかあふべき」と言ひたりける。いと興ある申しごとなり。 ===== 翻刻 ===== 承安元年小五月会にて侍けるにや秦公景(公正子)下野敦 景(敦則子)あはせられたりけるに公景はまうけ上手敦 景はおい上手なりけれは案のことく敦景追 てとりくみて馬場末まてとほりにけりともに興あ りけれは両人めされにけり公景はもとより院の召次所 に候けり敦景叡感のあまりに次日召次所に候へき よし大宮大納言隆季卿の奉行にて仰下されけり 公景此事をききて院の中門に主典代庁官なとか/s262l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/262 候ける中にて誠にや敦景公景に持したりとて御所へ めされ侍る也公景に勝たらん者はいか程のめにか あふへきといひたりけるいと興ある申事也/s263r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/263