[[index.html|古今著聞集]] 好色第十一 ====== 327 野宮左大臣若くおはしましける時、・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 野宮左大臣((徳大寺公継・藤原公継))、若くおはしましける時、内裏の女房に物言ひわたり給ひけれども、うちとけざりけるに、ある夜、本意(ほい)遂げて、局より出づとて、「我願既満、衆望亦足(我願ひ既に満つ、衆望もまた足れり)」と誦せられけるを、局並びに住みける((「ける」は底本「けり」。諸本により訂正。))古き女房、これを聞きて、かの女房に会ひて、「はや今宵うちとけ給ひにけるな」と問ひけるを、さなきよし、あらがひければ、「さるにては、この文を誦せらるべしやは」とて、文の心を言ひければ、あらがはずなりにけり。 ===== 翻刻 ===== 野宮左大臣わかくをはしましける時内裏の女房に 物いひわたり給けれともうちとけさりけるに或夜ほいとけ てつほねよりいつとて我願既満衆望亦足と誦せられ けるを局ならひに住けりふるき女房これをききて彼女 房にあひてはやこよひうちとけ給にけるなと問けるを さなきよしあらかひけれはさるにては此文を誦せらるへしやはとて/s225l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/225 文の心をいひけれはあらかはすなりにけり/s226r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/226