[[index.html|古今著聞集]] 管絃歌舞第七 ====== 284 同じき六年十二月大宮大納言隆季卿殿上人の時左近府の抜頭の面形を・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 同じき((久安。[[s_chomonju282|282]]参照。))六年十二月、大宮大納言隆季卿((藤原隆季))、殿上人の時、左近府の抜頭(ばとう)の面形(おもかた)を借り請けて置かれたりけるに、八日の夜の夢に、褐冠(かちかぶり)したる者来たりて、「かの面形、早く府に返すべし。久しくわたくしに置くことなかれ」と言ふと見て、覚めにけり。 おどろきて、その面形を見ければ、裏の銘に、「右相撲司延暦二十一年七月一日造」と書きたり。恐れをののきて、やがて府に返されにけり。 ===== 翻刻 ===== 同六年十二月大宮大納言隆季卿殿上人の時左近府 の抜頭の面形を借請てをかれたりけるに八日の夜の夢 にかちかふりしたる物きたりて彼面形はやく府に 返すへし久しくわたくしにをく事なかれといふと 見てさめにけりおとろきてその面形を見けれは裏の 銘に右相撲司延暦廿一年七月一日造と書たり恐れを/s191l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/191 ののきてやかて府に返されにけり/s192r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/192