[[index.html|古今著聞集]] 管絃歌舞第七 ====== 250 篳篥吹き遠理が父阿波守にて下向の時・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 篳篥(ひちりき)吹き遠理((源遠理))が父((源惟正))、阿波守にて下向の時、遠理その供に同じく下向しけるに、その年旱魃(かんばつ)の愁へありければ、とかく祈雨を励めどもかなはず。 七月ばかりに、遠理、その国の社(その神尋ぬべし)へ参りて、奉幣の後に、調子を両三反吹きて祈請の間、にはかに唐笠ばかりなる雲、社の上に覆ひて、たちまちに雨下りて洪水に及びにけり。 神感のあらたなること、秘曲の地に落ちざること、かくのごとし((「かくのごとし」は底本「かくれことし」。諸本により訂正。)) ===== 翻刻 ===== 篳篥吹遠理か父阿波守にて下向之時遠理その共 におなしく下向しけるにそのとし旱魃の愁ありけれ はとかく祈雨をはけめともかなはす七月はかりに遠 理其国の社(其神/可尋)へまいりて奉幣の後に調子 を両三反吹て祈請のあひたにはかに唐笠はかりなる/s166r 雲社の上におほゐてたちまちに雨下りて洪水に及に けり神感のあらたなる事秘曲の地に落さる事かくれことし/s166l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/166