[[index.html|古今著聞集]] 和歌第六
====== 225 寛元元年二月九日雪三寸ばかり積もりたりける暁冷泉前右府参内し給ひける・・・ ======
===== 校訂本文 =====
寛元元年二月九日、雪三寸ばかり積もりたりける暁、冷泉前右府((西園寺実氏))、参内し給ひける。雪のふりかかりたる松の枝を折りて、御硯の蓋に置きて、御製((後嵯峨天皇の御製))を紅(くれなゐ)の薄様(うすやう)に書かせおはしまして、結び付けて、大納言の二位殿して大臣(おとど)に賜ひける、
九重に降り重なれる白雪はこれや千年(ちとせ)の松の初花
大臣、中宮の御方((西園寺姞子))へ参りて、御硯を申し出だして、尾張の内侍をして御返事を奉られける、
降りかかる頭(かしら)の雪を払はずはかかるみことの色を見ましや
===== 翻刻 =====
寛元元年二月九日雪三寸はかりつもりたりける暁
冷泉前右府参内し給ける雪のふりかかりたる松の枝を
おりて御硯の蓋にをきて御製を紅のうすやうにかかせおはしま
してむすひつけて大納言二位殿しておととに給ける
九重にふりかさなれるしら雪はこれや千とせの松のはつ花
おとと中宮の御かたへまいりて御硯を申いたして尾張内侍を/s156r
して御返事をたてまつられける
ふりかかるかしらの雪をはらはすはかかるみことの色をみましや/s156l
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