[[index.html|古今著聞集]] 和歌第六 ====== 211 仁和寺の佐の法印若くて醍醐の桜会見物のついでに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 仁和寺の佐(すけ)の法印(成海法印の師なり)、若くて醍醐の桜会(さくらゑ)見物のついでに、寺中巡礼しけるにや、山吹の衣着たる童二人、同じ姿にて花見て侍りける、いづれもいみじく艶(えむ)に覚えければ、たへかねて歌詠みかけける、   山吹の花色衣見てしより井手のかはづのねをのみぞなく みづからかく言ひかけて、逃げける袖をとらへて、ちと案じて、すなはち返し侍りける、   山吹の花色衣あまたあれば井手のかはづはたれとなくらむ ===== 翻刻 ===== 仁和寺佐法印(成海法印/師也)わかくて醍醐の桜会見物の次に 寺中巡礼しけるにや山吹衣きたる童二人おなしすかたにて 花みて侍けるいつれもいみしくえむに覚けれは堪かねて哥読かけける/s149l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/149  山ふきの花色衣みてしよりゐてのかはつのねをのみそなく みつからかくいひかけて逃ける袖をとらへてちとあんして則返し侍ける  山ふきの花色ころもあまたあれはゐてのかはつはたれと鳴らむ/s150r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/150