[[index.html|古今著聞集]] 公事第四
====== 97 仁平二年五月十七日最勝講行なはれけるに・・・ ======
===== 校訂本文 =====
仁平二年五月十七日、最勝講行なはれけるに、中山内府((中山忠親))、蔵人左衛門佐にて奉行せられけるに、二十一日結願の日、左大臣((藤原頼長))参り給ひて、御装束を見させ給ひけるに、九条大相国((藤原伊通))、大納言にておはしけり。資信中納言((藤原資信))の左大弁とて参られたりけるが、講読師の座のたてやう例にたがひたるよし申されけるにつきて、左府((藤原頼長))、奉行の職事に仰せられて直されにけり。
左府、後に日記を見させ給ひけるに、もとの御装束たがはざりければ、僻説(へきせつ)にて直されつることを悔ひ給ひて、怠状(たいじやう)を書きて、職事のもとにつかはしける。正直なりける事かな。
===== 翻刻 =====
仁平二年五月十七日最勝講をこなはれけるに中山内
府蔵人左衛門佐にて奉行せられけるに廿一日結願日左
大臣まいり給て御装束を見させ給けるに九条太相国
大納言にておはしけり資信中納言の左大弁とて
参られたりけるか講読師座のたてやう例にたかゐたる/s82l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/82
よし申されけるにつきて左府奉行の職事におほせ
られてなをされにけり左府のちに日記をみさせ給ける
に本の御装束たかはさりけれは僻説にてなをされつる
事をくひたまひて怠状をかきて職事のもとにつかはし
ける正直なりける事かな/s83r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/83