[[index.html|古今著聞集]] 政道忠臣第三
====== 81 同じ院律令式格にたがはずと宣命に書かせさせ給はせけるを・・・ ======
===== 校訂本文 =====
同じ院((後三条天皇。[[s_chomonju080|80参照]]))、「律令式格(りつりやうしききやく)にたがはず」と宣命に書かせさせ給はせけるを、資仲卿((藤原資仲))、「これより後をこそ申させ給はめ、前にすでにたがひたることどもをば、いかでかかくは申させ給ふぞ」と制し参らせけるに、ほどなく失せさせおはしましにければ、「その宣命のゆゑにや」とぞ人申しける。
為輔中納言((藤原為輔))、口伝に書かれて侍るなるは、「人は屏風のやうなるべきなり。屏風はうるはしう引き延べつれば倒(たふ)るるなり。ひだをとりて立つれば倒(たふ)るることなし。人のあまりにうるはしくなりぬれば、えたもたず。屏風のやうにひだあるやうなれど、まことはうるはしきがたもつなり」と侍るとかや。
===== 翻刻 =====
同院律令式格にたかはすと宣命にかかせさせた
まはせけるを資仲卿これより後をこそ申させたまは
め前にすてにたかひたる事ともをはいかてかかくは申
させ給そと制しまいらせけるに程なくうせさせおはし
ましにけれはその宣命のゆへにやとそ人申ける為輔
中納言口伝にかかれて侍なるは人は屏風のやうなる
へき也屏風はうるはしうひきのへつれはたふるるなり
ひたをとりてたつれはたふるる事なし人のあまりに
うるはしくなりぬれはえたもたす屏風のやうに
ひたある様なれと実はうるはしきかたもつなりと侍とかや/s76r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/76