[[index.html|古今著聞集]] 釈教第二
====== 71 湛空上人嵯峨の二尊院にて涅槃会を行はれける時・・・ ======
===== 校訂本文 =====
湛空上人((正信房湛空))、嵯峨の二尊院にて涅槃会を行はれける時、人々五十二種の供物を供へけるに、花を上に立てて歌を詠みて付けけるに、西音法師、「水瓶に梅を立てて送る」とて詠みける、
如月の中の五日の夜半(よは)の月入りにし跡の闇ぞ悲しき
返し、湛空上人、
闇路(やみぢ)をば弥陀の光にまかせつつ春の半ばの月は入りにき
また一首添へられける、
会(ゑ)を照らす光のもとを尋ぬれば勢至菩薩の頂(いただき)の瓶(かめ)
===== 翻刻 =====
湛空上人嵯峨の二尊院にて涅槃会をおこなはれける
時人々五十二種の供物をそなへけるに花をうへにたてて
哥を読て付けるに西音法師水瓶に梅を立て送とて読ける
きさらきのなかのいつかの夜はの月入にし跡のやみそかなしき
返し 湛空上人
やみちをは弥陀の光にまかせつつ春のなかはの月は入にき
又一首そへられける/s66l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/66
会を照す光のもとを尋れは勢至菩薩のいたたきのかめ/s67r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/67