[[index.html|古今著聞集]] 釈教第二
====== 60 高倉院の御時炎旱年をわたりけるに・・・ ======
===== 校訂本文 =====
高倉院((高倉天皇))の御時、炎旱(えんかん)年をわたりけるに、承安四年、内裏の最勝講に、澄憲法印、御願旨趣(ししゆ)啓白(けいびやく)のついでに、竜神に訴へ申して、たちまちに雨を降らして、当座にその賞をかうぶりて、権大僧都に上りて、上臈権少僧都覚長が座上につきけり。その時の美談、このことにありけり。
俊恵法師、喜びつかはすとて詠みける
雲の上に響くを聞けば君が名の雨と降りぬる音にぞ有ける
===== 翻刻 =====
高倉院御時炎旱年をわたりけるに承安四年内裏
の最勝講に澄憲法印御願旨趣啓白の次に龍神に
訴申て忽に雨をふらして当座に其賞をかうふりて
権大僧都にあかりて上臈権少僧都覚長か座上に
つきけり其時の美談此事に有けり俊恵法師喜
つかはすとてよみける
雲の上にひひくをきけは君か名の雨と降ぬる音にそ有ける/s57r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/57