[[index.html|古今著聞集]] 神祇第一 ====== 14 元永元年四月九日顕通大納言中納言右衛門督にて公卿勅使奉りて・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 元永元年四月九日、顕通大納言((源顕通))、中納言右衛門督にて、公卿勅使奉りて下られけるに、いづれの宿とかやにて、宸筆の宣命を取り落して立たれにけり。急ぎ人を返し遣(つか)はして求められけれども、日次(ひなみ)などは違(たが)ひて侍りけん。 父の大相国((源雅実))、その時右大臣にておはしけるが、このことを聞かれて、「家継ぐまじき者なり」とぞ宣(のたま)ひける。 保安三年正月二十三日に、大納言にはなられけれども、四月に胸を患(わづら)ひて、父の大臣に先立ちて、八日失せられにけり。 大臣の案に違(たが)はざりけり。中院(なかのいん)の右大臣((源雅定))、宰相中将にて侍りけるぞ、家をば継がれける。 ===== 翻刻 ===== 元永元年四月九日顕通大納言中納言右衛門督にて 公卿勅使奉て下られけるにいつれの宿とかやにて 宸筆の宣命をとりおとしてたたれにけりいそき人 を返しつかはして求られけれとも日次なとはたかひて 侍けん父の太相国其時右大臣にておはしけるか此事 をきかれて家継ましきものなりとその給ける保安三年/s17l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/17 正月廿三日に大納言にはなられけれとも四月にむねをわつ らひて父のおととにさきたちて八日うせられにけり おととの案にたかはさりけり中院右大臣宰相中将 にて侍けるそ家をはつかれける/s18r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/18