====== 発心集 ====== ほっしんじゅう ===== 成立 ===== [[鴨長明]]による[[仏教説話集]]。8巻からなり[[序文]]・[[跋文]]を持つ。成立の事情はよくわかっていないが、長明最晩年の作品とみられている。 ===== 内容 ===== 8巻102話(八巻本)、5巻62話(五巻本)からなる仏教説話集。『[[往生要集]]』の[[浄土思想]]にもとづき、題名どおりの発心説話の他、往生説話、隠遁説話が多い。 また、序文に次のような編纂方針が書かれており、インド・中国の[[説話]]を多く載せる他の仏教説話集と差別化が図られているが、少ないものの巻2第12話、13話のように必ずしもこの方針は貫かれていない。 > 今、此れを云ふに、天竺・震旦の伝へ聞くは、遠ければ書かず。仏・菩薩の因縁は、分にたへざれば是を残せり。唯、我が国の人の耳近きを先として、承る言の葉のみ記す。 長明没後、[[慶政]]による『[[閑居友]]』に大きな影響を与えた。 ===== 諸本 ===== 『[[本朝書籍目録]]』仮名部に三巻本の存在が記録されているが現存していない。 現存する[[本文]]では、五巻本とされる神宮文庫本5巻5冊[[写本]]・素行文庫本5巻2冊、八巻本([[流布本]])の慶安四年片仮名[[版本]]・寛文十年平仮名版本がある。 ===== 参考 ===== ==== 注釈書 ==== * 発心集〈異本〉(簗瀬一雄・古典文庫・昭和47年6月) * 神宮文庫本の翻刻、素行文庫本との校異。 * 校註鴨長明全集(簗瀬一雄・風間書房・昭和55年8月) * 角川文庫『発心集』(梁瀬一雄・角川書店・昭和50年4月) * 八巻本を底本に、五巻本にのみ存する説話を補遺として収録。 * 新潮日本古典集成『方丈記・発心集』(三木紀人・新潮社・昭和51年10月) * 角川ソフィア文庫『発心集 上・下』(浅見 和彦、伊東 玉美・角川学芸出版・2014年3月25日) ==== 抄出 ==== * 鑑賞日本古典文学23『中世説話集』(西尾光一 貴志正造編・角川書店・昭和52年5月) ==== 電子テキスト ==== * [[:text:hosshinju:]](やたナビTEXT) {{tag>鴨長明 発心集}}