====== 動詞 ====== どうし ===== 定義 ===== 日本語の[[品詞]]の一つ。[[自立語]]で[[活用]]があり、単独で[[述語]]になる。同様に自立語で活用のある[[形容詞]]・[[形容動詞]]とあわせて[[用言]]という。 [[口語]]では、終止形がウ段の音で終わり、[[文語]]ではウ段、または「リ」で終わる。 ===== 活用の種類 ===== ==== 四段活用 ==== * もっとも数が多い。 * 口語では未然形がオ段にも活用するため五段活用という。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |あ|い|う|う|え|え| ==== 上一段活用 ==== === 文語 === * 十数語。 * 「着る」「似る」「干る」「見る」「射る」「居る」「用ゐる」など * 「干る」は上代には上二段活用。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |い|い|いる|いる|いれ|いよ| === 口語 === * 数が多い。 |未然|連用|終止|連体|仮定|命令| |い|い|いる|いる|いれ|いよ| ==== 上二段活用 ==== * 数が多い。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |い|い|う|うる|うれ|いよ| ==== 下一段活用 ==== === 文語 === * 「蹴る」一語のみ。 * [[語幹]]と[[語尾]]の区別がない。 * 「蹴る」は上代には下二段活用だったらしい。 * 口語では五段活用に移行。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |け|け|ける|ける|けれ|けよ| === 口語 === * 数が多い。 |未然|連用|終止|連体|仮定|命令| |え|え|える|える|え|えよ| ==== 下二段活用 ==== * 数が多い。 * 「得(う)」「経(ふ)」などは語幹と語尾の区別がない。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |え|え|う|うる|うれ|えよ| ==== カ行変格活用 ==== === 文語 === * 「来(く)」一語のみ。 * [[中古]]までは命令形は「こ」 * [[語幹]]と[[語尾]]の区別がない。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |こ|き|く|くる|くれ|こ(こよ)| === 口語 === * 「来る」一語のみ。 * [[語幹]]と[[語尾]]の区別がない。 |未然|連用|終止|連体|仮定|命令| |こ|き|くる|くる|くれ|こい| ==== サ行変格活用 ==== === 文語 === * 「す」「おはす」の二語。 * 複合動詞「〜す」になるので実際には数が多い。 * 「命ず」など、ザ行もある。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |せ|し|す|する|すれ|せよ| === 口語 === * 「する」の一語。 * 複合動詞「〜する」になるので実際には数が多い。 |未然|連用|終止|連体|仮定|命令| |し|し|する|する|すれ|せよ| ==== ナ行変格活用 ==== * 「死ぬ」「往ぬ(いぬ)」の二語。 * 連用形は撥[[音便]]になることがある。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |な|に|ぬ|ぬる|ぬれ|ね| ==== ラ行変格活用 ==== * 「あり」「をり」「侍り」「いまそかり」「みまそかり」の五語。 * 連用形は促[[音便]]になることがある。 |未然|連用|終止|連体|已然|命令| |ら|り|り|る|れ|れ| ===== 動詞の種類 ===== ==== 自動詞 ==== 表す動作・作用が主語自身の働きを表す動詞。 「戸が開く」の「開く」など。 ==== 他動詞 ==== 表す動作・作用がほかに及ぶ意味を持つ動詞。 「私が戸を開ける」の「開ける」など。 ==== 可能動詞 ==== 五段(四段)活用の動詞が下一段活用に転じて、[[助動詞]]を用いなくても単独で可能の意味を持つようになったもの。「読める」「言える」などの類。 中世末期頃からみられ、命令形がない。